全店休業のミュゼプラチナム、「新生ミュゼ」構想が判明 ~ 運営会社MPH・三原孔明氏インタビュー ~
運営会社や株主がたびたび変更されるなか、脱毛サロン・ミュゼプラチナムに注目が集まっている。
ミュゼプラチナムは現在、MPH(株)(TSRコード:036547190、東京都港区)が運営している。だが、2月にMPHの経営権を巡り、内紛が勃発。合同会社トラスト(TSRコード:023567023、東村山市)が、「経営体制及び今後の運営に関するご連絡」をMPHに送付し、取締役の解任などを突きつけていた。
3月21日、MPHは公式サイトで「資金支援およびサービス拡充準備に向けた一時休業のお知らせ」をリリース。「国内優良企業からの資金支援を受けることが決定し、各種準備のために3月22日から4月20日までの期間、全店舗を一時休業する」と発表した。
全役員解任の騒動から約1カ月。意に反する解任通知を叩きつけられた三原孔明氏と関係者に東京商工リサーチ(TSR)が単独取材した。
※インタビューは3月24日実施。
―MPHを巡る経営権の対立について、現状は
経営権を巡っては、MPHとトラストとの間で裁判中だ。トラストは、支払いサイトなどを調整する前提でMPHと仕入先の商流に入ったが、実際には調整は行われていなかった。昨年10月8日に業務委託契約書をトラストとMPHで結んでいる。だが、業務委託にも関わらず、業務を執行して金銭を払わなかった場合は、MPHの株式を担保にする契約内容になっていた。
トラストは、10月8日の契約書を根拠に、広告作成費用の495万円の未払い分を理由として、MPHの34%分の株式は譲渡担保権を設定したトラストの株式だと主張している。そして、2月7日の譲渡担保権の実行によりトラストがMPHの株式を取得したと主張している。
だが、10月8日の契約書は我々のチェックを経ておらず、株式の譲渡承認、株主名簿の名義書換とも未了のため、トラストが株主としての権利を行使することはできないと主張した。
現在のMPHの株主構成は、グローバルブリッジファンド合同会社(TSRコード:698497082、千代田区、以下GBF)が10万株(99.01%)、三原が1,000株(0.99%)だ。だが、現在は実質的に取締役を解任され、社内に入る事ができなくなり、係争が続いている。
―給与の遅配や家賃の支払い状況は
2月7日以降のトラスト代表取締役による体制下でも、MPHは給与の遅配や支払家賃の滞納は続いていると聞いた。1月分給料の30%、2月と3月の給与の全額が遅延しているようだ。従業員のストライキにも近い形で今回の店舗休業につながったのではないか。
―MPHは「国内優良企業からの資金支援を受けることが決定した」と発表している
MPHは約2カ月半の給与の遅配があるようで、社会保険料と合わせて約20億円が必要だ。それ以外にも、支払家賃や仕入商品代、数カ月分の運営費用などを考慮すると、100億円程度の資金調達が必要になるだろう。今後どのようなスキームで資金調達を進めていくのか不明だ。
―3月21日、GBFは(株)メンズミュゼ(現:新生ミュゼプラチナム(株)、TSRコード:136911390、千代田区)の経営権を取得した旨をリリースした
GBFは、MPHに約60億円を貸し付けている。3月10日に期限の利益が喪失した約10億円について、MPHの子会社であるメンズミュゼと関連2社の株式による代物弁済契約を締結し、経営権を取得した。
現在は、MPHの銀行口座なども掌握され、社内に立ち入りできない状況であることから、MPHの従業員に対しては、GBFが支払いを含む具体的な業務支援を行うことが難しい状態だ。
MPHとトラストの係争が長引く可能性があるなか、GBFがメンズミュゼの経営権を取得したことで、顧客や従業員をMPHから引き継げる体制を整えている。
メンズミュゼでは給与の遅延も解消して安定した運営ができる体制が整い、すでにMPHの従業員に対して説明している。現在、MPHの正社員約1000名のうち、400名程度から移籍希望を受けている。
ただ、メンズミュゼの店舗は現在約20店舗しかない。MPHの未施術の顧客が10万人程度おり、全国の顧客に対してサービスを提供し続けるためには、従業員を出張させるような仕組みや、地方のエステサロンの間借りなど、今までとは違う形で事業を継続させる工夫が必要だ。フランチャイズ展開や海外展開などの構想も練っている。
―今後の見通しは
GBFはMPHの筆頭債権者だ。GBFからMPHに対しての債権額はまだ40億円以上有しており、現在追加で約8億4000万円分の債権の代物弁済という形で、機材の一部と商標権、店舗の営業権などの権利の譲渡を求めている。
MPHの経営権が戻ってきた場合、トラストへの損害賠償請求やMPHの民事再生、破産なども含め、総合的に考慮していく。
TSRは、今回の内容についてトラスト側に取材を申し込んでいる。
脱毛サロン大手のミュゼプラチナムの全店休業のニュースは、世間に大きな衝撃を与えた。ミュゼの経営権を巡り、役員間で意見が対立しているが、その余波は顧客や従業員に及んでいる。
MPHのお知らせ(3月25日撮影、都内)
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年3月27日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)