富山銀行がAML/CFT対策の高度化に向けて「コンプライアンス・ステーション®UBO」を導入
株式会社 東京商工リサーチ(以下「TSR」)がサービス提供するコンプライアンス・データラボ株式会社(以下 「CDL」)の、「コンプライアンス・ステーション®UBO(以下「当商品」)」が株式会社富山銀行(以下「富山銀行」)に、導入されたことをお知らせします。
導入の背景
近年、国際的にAML/CFT(マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策)を強化する動きが加速しており、金融機関においても法人取引先の実態把握がますます重要視されています。富山銀行では、法人顧客のマネロンリスクを適切に評価するため、実質的支配者(UBO)を含む法人情報を効率的に収集できる手段を模索していました。
従来、渉外担当者による訪問やダイレクトメール(DM)送付によって情報収集を行っていましたが、DMの未回答や不着が多く、法人情報の最新化に課題を抱えていました。こうした課題を解決するため、複数の法人データプロバイダーを比較・検討した結果、TSRの国内最大級の法人データベースを活用し、数十万件単位でUBO情報を瞬時に取得できる点が評価され、2025年2月より「コンプライアンス・ステーション®UBO」の導入に至りました。
導入により実現できること、今後の展望
富山銀行では、法人向けの継続的顧客管理業務に「コンプライアンス・ステーション®UBO」を活用します。これにより、法人の実態確認や最新の社名・住所・代表者情報、UBO・株主情報の収集が大幅に効率化され、従来の手間とコストを削減しつつ、より高度なコンプライアンス管理が可能となります。
また、2028年に予定されているFATF(金融活動作業部会)による第5次対日相互審査を見据え、AML/CFT対策のさらなる実効性向上が求められる中、CDLは富山銀行の継続的顧客管理の高度化を支援するため、プロダクトの改良やサポート体制の強化を進めてまいります。
取り巻く環境
巧妙化するマネー・ローンダリングをはじめとする金融犯罪対策が国際的に拡大しています。昨年4月に財務省が発表した「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」においても、国内マネロン等対策の実効性を高めるとともにリスク環境の変化に対応していくことが重要とされており、2028年に控えるFATF(金融金融活動作業部会)の第5次対日相互審査に向けて更なる対策を講じていく必要があります。
また近年ではリバトン事案(※)をはじめとする法人口座を悪用した不正取引が増加しています。
※実態がない約4,000の法人口座が悪用されたことが判明し、700億円の犯罪収益がマネー・ローンダリングされたと報道されました。
このような背景を受けて、金融庁は2024年8月に「法人口座を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化について」の要請文を公表しました。要請内容には、口座開設における本人確認手続きの強化、リスクの高い取引に対するモニタリングの強化、および不正利用が疑われる取引の早期検知が含まれています。また、口座開設時にはその利用目的の確認と、開設後の継続的な監視を行うことが求められています。
そのため、多くの金融機関では限られたリソースの中で高度なコンプライアンス管理に取り組む必要があり、その打開策として有効的なデータ管理手法の導入が不可欠と言えます。
サービス概要
「コンプライアンス・ステーション®UBO」は、オンライン上で会社名を検索するだけで、TSRの広範な企業情報を基にCDL独自のアルゴリズムが対象企業のUBOを特定し、以下の情報を提供します。
- 社名
- 住所
- 代表者
- 業種
- 法人番号
法人番号検索では、1件ずつ、および大量データの一括処理も可能で、法人番号が付与されていれば、30万件の法人を約3分で処理が可能です。
<コンプライアンス・ステーション®UBOシリーズ>
- UBO:スタンダードプラン。対象企業の基本情報やUBOを提供。
- UBO+:スタンダードプランに加えて中間株主情報や資本系列図を提供。
- UBO Exec:スタンダードプランに加えて役員情報を提供。
- UBO C&S:スタンダードプランに加えて販売先・仕入先情報を提供。
用語の説明
* 実質的支配者(UBO)
法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人等。
本導入を通じて、富山銀行はAML/CFT対策を一層強化し、より信頼性の高い金融サービスの提供を目指してまいります。TSRおよびCDLは、引き続き高品質なデータと技術を活用し、金融機関のコンプライアンス業務を支援してまいります。