2024年度の「物価高」倒産 700件 建設業と運輸業は価格転嫁で明暗
2024年度の 「物価高」倒産状況
2024年度に原材料などの価格上昇を一因とする「物価高」倒産は、700件(前年度比2.0%増)だった。一方、負債総額は2,651億4,200万円(同33.3%減)と前年度を下回った。
物価高は、円安で輸入財を中心に様々なコストアップを招き、収益力の脆弱な小・零細企業の経営を圧迫している。特に、新たな資金調達が難しい企業は、資金繰りに余裕を欠くため、事業継続に支障をきたす状況になっている。
「物価高」倒産を産業別にみると、製造業の153件(前年度比4.7%増)が最も多く、建設業が150件(同7.9%増)、運輸業が122件(同16.4%減)で続く。建設業はピラミッド構造で受注単価の見直しが難しい。運輸業も人手不足は深刻だが、運輸業と建設業では価格転嫁の度合いで明暗が分かれた格好となった。
資本金別では、1千万円未満が399件(前年度比9.6%増、構成比57.0%)と、経営体力が脆弱な小・零細規模の企業が半数を超えた。形態別は、破産が628件(同4.1%増)と約9割(89.7%)に達し、事業継続を諦めるケースが多い。
4月に入り為替は乱高下を繰り返すなど相互関税の影響は不透明で、物価高の是正には時間が必要だろう。
※本調査は、2024年度(2024年4月-2025年3月)の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。